子どものアトピー性皮膚炎

子どものアトピー性皮膚炎の
特徴

アトピー性皮膚炎を持つ子どもの割合

学校やインターネットで行ったアレルギー実態調査によると、日本でアトピー性皮膚炎を持つ子どもは、小・中学生とも2008年に増加し、2015年にはやや減少しましたが、小学生で14.7%(約7人に1人)、中学生で9.7%(約10人に1人)でした。
このように、アトピー性皮膚炎は子どもにとって身近な病気だと考えられます。

アトピー性皮膚炎を持つ子どもの割合

小学生

小学生

中学生

中学生

対象:全国の小・中学生(2005年は約10.0万例、2008年は約9.2万例、2015年は約7.9万例)

方法:ISAAC(International Study of Asthma and Allergies in Childhood:国際小児喘息・アレルギー調査)調査票の日本語版をベースに質問票用紙を作成し、無作為に抽出した学校へ配布後、回収した調査票の解析を行った。なお、小学生は保護者、中学生は本人が質問に回答した。

足立雄一ほか. 令和元年度厚生労働行政推進調査事業費補助金 アレルギー疾患対策に必要とされる大規模疫学調査に関する研究による
「日本のアレルギー疾患はどう変わりつつあるのか」; 2020. P7.

子どものアトピー性皮膚炎の地域差

小・中学生ともに、患者さんの割合が高い地域と低い地域は、同じような分布になりました。ただし、その地域差にあきらかな傾向はありませんでした。子どものアトピー性皮膚炎では、地域による影響はあまりないと考えられます。

アトピー性皮膚炎を持つ子どもの分布
(2015年)

小学生

小学生

中学生

中学生

対象:全国の小・中学生(2005年は約10.0万例、2008年は約9.2万例、2015年は約7.9万例)

方法:ISAAC(International Study of Asthma and Allergies in Childhood:国際小児喘息・アレルギー調査)調査票の日本語版をベースに質問票用紙を作成し、無作為に抽出した学校へ配布後、回収した調査票の解析を行った。なお、小学生は保護者、中学生は本人が質問に回答した。

足立雄一ほか. 令和元年度厚生労働行政推進調査事業費補助金 アレルギー疾患対策に必要とされる大規模疫学調査に関する研究による
「日本のアレルギー疾患はどう変わりつつあるのか」; 2020.P9.

子どものアトピー性皮膚炎の症状

アトピー性皮膚炎は、年齢によって症状の分布や特徴が異なります。

乳児期(2歳未満)のアトピー性皮膚炎

乳児期(2歳未満)は、ほほ、ひたい、頭の露出部などの頭部で、乾燥をきっかけにして赤みが引き起こされます。かいて皮膚が傷つくと、じゅくじゅくとした湿疹となり、その後、かさぶたとなって湿疹が顔全体に広がっていきます。また、くび、わきの下、ひざの裏、肘の裏など関節部分に湿疹が出やすくなり、胸、お腹、背中、手足にも症状が起こります。

乳児期の症状

顔の湿疹

顔の湿疹

くびの湿疹

くびの湿疹

佐伯秀久ほか : アレルギー誌.2021;70(10):1257-1342.「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021」より一部抜粋
中原剛士. 編集/『皮膚科の臨床』編集委員会. 皮膚科の臨床 変わりつつあるアトピー性皮膚炎の常識. 金原出版; 2019. P787-792.

幼小児期・学童期(2~12歳)のアトピー性皮膚炎

幼小児期・学童期(2~12歳)は、顔の湿疹が減って、くび、わきの下、ひざの裏、肘の裏など、からだの関節部分に湿疹が出やすくなります。重症例では、顔や手足にも湿疹が広がり、繰り返しかくことでかさぶたが繰り返されると、肘、ひざ、手足などの皮膚が厚く硬くなっていきます。また、鳥肌のような、ぶつぶつと皮膚の表面が小さく盛り上がった状態がみられることもあります。

幼小児期・学童期の症状

関節部分の湿疹

関節部分の湿疹

鳥肌のような、ぶつぶつと皮膚の
表面が小さく盛り上がった状態

鳥肌のような、ぶつぶつと皮膚の表面が小さく盛り上がった状態

中原剛士. 編集/『皮膚科の臨床』編集委員会. 皮膚科の臨床 変わりつつあるアトピー性皮膚炎の常識. 金原出版; 2019. P787-792.
佐伯秀久ほか : アレルギー誌.2021;70(10):1257-1342.「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021」より一部抜粋