患者さんインタビュー

Vol.1

大変なことも多いから、
自分を甘やかすこと
も必要。

20代のときに症状が悪化

最初にアトピー性皮膚炎と診断されたのは小学6年生のときでした。もともとアレルギー体質で肌が弱く、幼少の頃から通院していたのですが、当時はまだ「アトピー性皮膚炎」というものがそれほど認知されておらず、かかりつけ医の意識も薄かったようです。それからは、より良い治療法を求めて母と一緒にいろいろな病院を訪ねました。高校生になると自分で病院を探すようにもなりましたね。
特に症状がひどかったのは20代の頃です。広告代理店に勤めていたので、仕事はハードで、生活も不規則。ストレスもあって、かなり悪化しました。
改善が見られたのは30代になってから。現在では、保湿をしっかり行うことで良い状態をキープできていて、悪化した際にだけ皮膚科で処方してもらった外用薬を塗るくらいで済んでいます。

好きな仕事を続けるために

広告代理店時代は、営業から編集までさまざまな職種を経験し、がむしゃらに頑張っていました。やりがいはあって楽しかったのですが、肌には良くなかったと思います。毎日かゆみを我慢しながら夜遅くまで働いて、家に帰ると全身をかきむしって……の繰り返し。また、人間関係で嫌なこともありました。打ち合わせの相手が私の肌をじっと見て「もしかしてアトピーなの?」と言ってきたり……どうしてわざわざそんなこと言うの!? と腹が立ちましたね。こちらは相手に向かって「ずいぶん太ってますね」なんて外見のことは言わないのに。アトピー性皮膚炎だけなぜ言われるんだろう? と悲しい気持ちになりました。そういった出来事もあって、周囲に肌を見られるのが嫌でしたね。真夏の暑いときもずっと我慢して上着を脱げずにいました。
それでも、仕事が好きな気持ちはやっぱり変わりませんでした。アトピーが理由で仕事をあきらめるという選択肢は私にはなかったです。忙しい中でも空いた時間に通院できるよう会社近くの病院を探したり、なるべくストレスを溜め込まないよう遊べるときは遊んで発散したり、仕事を続けるために何ができるかを考えて行動に移していました。

楽にアトピーと付き合っていく

ひどい症状に悩んでいるときは、視野が狭くなってしまい、どうすればいいか分からなくなりがちですよね。そうならないために私が心掛けているのは、一歩引いた視点から客観的に自分の状態を見るようにすること。ひとつの考えに凝り固まらず、何かを変えてみると、良い結果につながることだってあります。例えば、一定期間同じ治療を続けても状態が改善しないなら、医師に相談して新しい治療法を検討してみるのも手だと思いますよ。
また、自分のアトピーの許容量を知り、どれくらい無理をしたら症状が悪化するかを把握しておくことも大切だと思います。それを分かった上でなら、許容量を超えて仕事を頑張る日や、思い切り遊ぶ日があってもいいと思うんです。症状を気にし過ぎて、やりたいことを我慢する、食べたい物も食べない、旅行にも行かない……そんなの人生がもったいないですよ。人より大変なこと、我慢することも多いのだから、ときには自分を甘やかすことも必要! それくらいの気持ちでいたほうが、楽にアトピー性皮膚炎と付き合っていけると私は思います。

私のPEACEな時間

気の合う人とおいしいものを食べているとき、好きなテレビ番組を観ているときが、私にとってアトピー性皮膚炎を忘れて癒やされる時間です。お寿司も、焼き肉も、お酒も大好き。お笑い番組や韓流ドラマに熱中して、気が付いたらいつのまにか朝……なんて日もたまにあります。自分を甘やかすことも必要と話しましたが、ちょっと甘やかし過ぎでしょうか?笑

〈当コンテンツについて〉
インタビュー実施および原稿作成に関しては、特定非営利活動法人日本アトピー協会様より患者様をご紹介いただき、監修医確認のもと、制作委託業者である株式会社インターサイエンス社によって行われています。また、当Webサイトへの掲載に関しても、患者様ご本人の承諾を得ております。